PER・PBR まで来て、最後に出てくる主要指標が ROE(自己資本利益率) です。「ROE が高い = 良い会社」と本やネット記事で繰り返し言われる、定番の指標。

でも、「ROE が何%以上なら良いのか」と聞かれると、急に答えづらくなる。
この記事では、ROE の意味と、ハロが ROE を どのくらい重視しているか・どう使っているか を共有します。先に結論を言うと、ハロは 「EPS → PER → ROE」の順 で重要視していて、ROE は成長要素として見ています。絶対値の基準は持っていません。そして デュポン分解(ROE を3つに分解する考え方)は「最近知って、考えるようにしているけど、実践はまだ」── 一緒に学びましょう。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100%。
投資家から預かった自己資本で、年間どれだけ利益を生み出したか」を測る指標。
日本企業平均は 8〜10%15%以上で優良20%以上で高ROE25%以上で価格決定力企業の目安
ハロの重要度ランキング:EPS → PER → ROE → 売上成長。ROE は成長要素として見る。
絶対値で「○%以上が正解」と決めない方がいい指標。業界・事業構造で適正水準が違う。
デュポン分解は「最近知って、実践はまだ」── 一緒に学ぶスタンス。

第1章 ROE は「投資家のお金の効率」

ROE を一言で言うと、「投資家から預かった自己資本で、1年間にどれだけ稼げたか」 を測る指標です。

たとえば、自己資本100億円の会社が、1年間で純利益15億円を稼いだら、ROE は 15%
投資家のお金が、年率15%で増えている」というイメージ。これが高いほど、お金の使い方が上手な会社 ということになります。

これは、バフェット氏が最重視する指標 の一つでもあります。バフェット氏は「ROE 15%以上を継続的に維持できる企業」を優良企業の条件としていて、ROE は単なる利益率ではなく「経営の質」を映す鏡、というのが彼の見方です。

第2章 計算式と意味

ROE の計算式:

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100%

例:自己資本100億円、当期純利益25億円 → ROE = 25%

25%」って数字、これだけ聞いても直感的にピンと来ないかもしれません。これを別の言い方にすると、

投資家のお金が、年率25%で回っている

ということ。S&P500 の長期平均リターンが約7-10% と言われる中で、ROE 25% を持続している会社は、市場平均の2〜3倍のスピードでお金を増やしている 計算になります。

第3章 ROE は何%なら「高い」のか

ROE は日本企業平均が 8〜10%15%以上で優良20%以上で高ROE25%以上で価格決定力企業の目安です。ただし業種で大きく違うので、絶対値で「○%以上が正解」と決めない方がいい指標です。

観点 評価 注釈
5%以下 低い・要警戒 自己資本を有効活用できていない
8〜10% 日本企業平均 普通レベル
15%以上 優良企業の目安 バフェット流の最低ライン
20%以上 高ROE企業 経営の質が高い
25%以上 価格決定力企業の目安 HOYA・キーエンス クラス

ただし、この基準を絶対視するのは危険 です。次の章で説明する通り、ROE は 業界・事業構造で適正値が大きく違う 指標だからです。

第4章 ROE と業種の関係 ── 絶対値で決めない方がいい

ROE は、業種によって平均水準が大きく違います。

観点 ROE目安 理由
IT・SaaS 15-25% 在庫・設備が少なく、利益が出やすい
製造業(高付加価値) 10-20% 価格決定力で利益率が高い
一般製造業 5-10% 設備投資が重く、利益率が抑えられる
銀行・商社 8-12% ビジネスモデルが特殊
不動産 5-10% 長期保有資産が重い

つまり、同じ ROE 15% でも、SaaS なら平均的、一般製造業なら高ROE と評価が変わる。
ROE 15% 以上が良い会社」と一律に言ってしまうと、業種特性を見落とすことになります。

ROE は「絶対値で何%以上が正解」と決めない方がいい指標。
その業種の中で、どこに位置しているかを見るのが現実的。

ちなみに、エナフン氏(『割安成長株で2億円』『100倍株で資産は増やせる』の著者)も、ROE の絶対値基準を 明示的には公開していない と思います(自分の検索範囲では)。代わりに「ROE × PER = PBR」の関係を重視する、組み合わせで見るスタイル が紹介されています。

第5章 ハロは「EPS → PER → ROE」の順で重要視

ハロが指標を見るときの優先順位は 「EPS → PER → ROE → 売上成長」 の順です。最終的に株主のものになる EPS が最上位、その次が PER、ROE は成長要素として補助的に使います。

EPS(純利益)── 最終的に株主のものになる利益
PER(株価÷EPS)── 稼ぐ力に対する株価評価
ROE(純利益÷自己資本)── 成長要素・経営の質
売上成長率(3-5年継続で年率10%以上)── 企業の成長

そして、ROE の 絶対値基準は持っていません

これは 健全なスタンス だと思います。「業種・事業構造で適正値が違う」のが ROE なので、絶対値の単一基準を持つより、個別企業ごとに「この会社のROEは、その業種・規模・成長段階の中でどう見えるか」を考える 方が、現実的な使い方です。

第6章 デュポン分解 ── 最近知って、実践はまだ

デュポン分解 は、ROE を「利益率 × 回転率 × 財務レバレッジ」の3つに分けて、ROE が高い/低い理由を構造的に理解する考え方です。ハロも 最近知って、考えるようにはしているが、実践はまだ の段階です。

これは、ROE を3つの要素に分解して、「ROE がなぜ高い/低いのか」を構造的に理解する考え方。

ROE = 当期純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ                       ・当期純利益率 = 純利益 ÷ 売上(PL)  ・総資産回転率 = 売上 ÷ 総資産(PL+BS)  ・財務レバレッジ = 総資産 ÷ 自己資本(BS)

つまり、ROE が高い理由は3パターンに分けられる:

  1. 利益率が高い

    価格決定力がある会社(HOYAパターン)。商品単価が高くても顧客が逃げない。

  2. 回転率が高い

    効率経営。同じ資産で何度も売上を生み出す(小売・薄利多売)

  3. レバレッジが高い

    借入を活用。自己資本が薄い分、ROE が機械的に上がる(ただしリスクも)

そして、ハロの正直な現状:

デュポン分解を実践するなら、決算書から3つの数字を取って計算する必要があります(自動計算ツールもあります)。HOYA の ROE 25% を例にすると、利益率の高さ(営業利益率約30%)が ROE を押し上げている、と分解できます。これが 価格決定力企業の典型パターン

第7章 ROE だけで判断するのは危険

最後に、ROE の 落とし穴 を共有します。

借入を増やすと、自己資本が薄くなり、ROE は機械的に上がる。これは「経営が良くなった」というより、「レバレッジを効かせただけ」かもしれない。
ROE が高い理由を デュポン分解で見ないとレバレッジ起因の偽高ROE を見落とす可能性がある。

たとえば、

  • A社:利益率20% × 回転率1.0 × レバレッジ1.0 = ROE 20%(健全)
  • B社:利益率10% × 回転率1.0 × レバレッジ2.0 = ROE 20%(借入依存)

同じ ROE 20% でも、中身が全然違う。ROE は単独で見ず、BS(自己資本比率)と組み合わせて見る のが、安全な使い方です。

まとめ まとめ

  • ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100%
  • 投資家のお金の効率」を測る指標
  • 日本平均8%、15%以上で優良、20%以上で高ROE、25%以上で価格決定力企業の目安
  • ただし 絶対値で「○%以上が正解」と決めない方がいい(業種・事業構造で違う)
  • ハロの優先順位:EPS → PER → ROE → 売上成長
  • ハロは ROE の絶対値基準を 持っていない。個別企業ごとに考える
  • デュポン分解 ── ROE を3つに分けて見る考え方。ハロも 「最近知って、実践はまだ」。一緒に学んでいく
  • ROE 単独で判断せず、BS(自己資本比率)と組み合わせて 見るのが安全

これで 2時間目「決算書」全7回が完了 です。ここまでで、PL・BS・CF の3表と、PER・PBR・ROE の3指標が揃いました。

参考にした情報・出典

次は 3時間目「銘柄分析(発掘ファイル)」。1時間目・2時間目で整理した考え方を実際の銘柄に当てはめて、ハロが「この会社を発掘した」プロセスを共有していきます。すでに HOYA(7741) の発掘ファイル #01 は公開済み。次の発掘ファイル #02 は アルトナー(2163) の予定です。